"餅は餅屋"という言葉がある。
ご承知のように、人やモノには、それぞれ専門がある・・・というという意味の言葉だ。
何に関してもマルチが求められるようになってきた世の中で、企業にしても人にしてもモノにしても、いったい何が専門なのかを端的に言うことは難しくなってきたようにも思えるが、何かひとつ、これだけは人よりよく知っているというものを持っていることは、いつの時代でも強い。
そもそも、人にできないことをすることで、はじめてお金をもらうことができるのが商売である。
アルバイトは時間を売り、プロは技術を売っているという違いはあるにせよ、お金を出す相手がないものを売っていることに違いはないし、時間より技術を売る方が価値が高いことは明白だ。
そういう意味において、いわゆる"広くて浅い知識"というものは、あまり役に立たないかもしれない。
物事は深く追求していけばいくほど、それ以外の知識も必要となってくるもので、結果的に"広くて浅い知識"を必要とすることはあるが、最初から"広くて浅い知識"を求めるのは結局、中途半端に終わる場合が多い。
よく「パソコンができる」とか「できない」ということを言う人があるが、パソコンで何ができるのかがサッパリわからない。
パソコンを触り初めて間もない人がよく言うことで、ちょっとわかってくると「フォトショップならいじったことがある」とか「クラリスワークスなら使っている」という言い方になってくるはずだ。
「パソコンができる」と言う人の多くは「キーボードの配置がある程度わかっていて打つことができる」人で、何のアプリケーションが使えるのかとちょっと突っ込むと「そこまでは、まだ・・・」とか「教えてもらえればできます」とかいうチグハグな答えが返ってくることが少なくない。
ところが具体的にひとつでもアプリケーションを会得している人は、おおよその勘所をつかんでいるので他のアプリケーションを覚えるのも早い。
ただし、専門を持った人にも落とし穴はある。
それは、何でもかんでも自分の知っていることの中に当てはめて、物事を処理しようとする傾向があることだ。
成功者は、かつて自分が成功した時と同じ方法で成功としようとした時、失敗する・・・!
私は知り合いにDTPの達人のデザイナーがいる。
彼は請求書を作成するのにもDTPソフトを使用しているので、パソコンのモニタを見ながら電卓をたたいている。