Episode No.4133(20111121)[商売]Business

画家に聴け
There is a condition
to be called a professional in any field.

毎週「日曜美術館」を楽しみにしていて、
最近は機会あれば美術館を訪れることも増えた。

そんな折り…
とある画家の先生と会食する機会を得た。
御年72歳、
画家として独り立ちされて40年のベテランの先生だ。

日曜美術館で取り上げられる芸術家の話を聞いていて、
毎回、一番気になるのは…
いったいどうやって
生活しているんだろう?
ということ。
高尚な芸術作品を前に実に俗っぽい話なのだが、
そこが気になって仕方がない。

さて、ベテランの画家の先生を目の前に、
いったいどうやって食っているんですか? とは、
なかなか聞きづらいかったが、
適度にアルコールが入ってくると
結構ざっくぱらんな話も聞かせてくれた。

はてしてこの話が、
絵を描くことだけで食べている画家先生の
平均的な話なのかどうかはわからないけれど…
まず
実際に絵を描いているのは一年の内、半年だけ。

あとの半年のうち、2ヶ月は取材で、
あとの4ヶ月は全国を個展でまわっている。

この4ヶ月間、
画廊やデパートの壁を埋めるために
必要な絵の枚数は50〜60枚。

油絵は乾きにも時間がかかるから、
1枚描き終わって、次の1枚…なんてことをしていたら、
一年に5〜6枚しか描けない。

その10倍描くためには
一度に10枚くらい描かなければならない。

小説家や漫画家が
一度に何本もの連載がないと、
それだけでは食えないのと一緒だね。

アトリエで作業をしている時は
一日に8時間くらいは描いているという。
まるでサラリーマンや工場作業員と同じだと言ってた。

つまり…
ある一定レベル以上の絵を、
確実に量産できなければ、
とても絵描きだけで生計を立てる
…なんてことはできないわけだ。

それが故、
感性ばかりでなく、身体にも充分気を遣い、
70歳を過ぎても
週に一度は3〜4時間テニスで汗を流しているという。

そこまで、できて…プロ、なんだよな。

一時的に頑張るのなら素人にも真似できる。
だけど、それだけじゃあ…とても続かない。

継続はプロとしての絶対条件だもんな。

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