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Episode No.467(000225):芸術って何だ?

「芸術家は、自分に才があると思うと駄目になる。
 おごることなく、職人のように仕事をしてこそ救われる」

晩年はリューマチによってきかなくなった手に筆を結びつけて絵を描いたという印象派の巨匠ルノアール。
冒頭の言葉通り、生涯精進を怠らなかったルノアールの誕生日は1841年の今日、2月25日だ。

絵画、彫刻などの美術や音楽・・・あるいは演劇、映像、そして文筆といった、いわゆるクリエイティブな世界では、どこまでが商売で、どこから先が芸術なのか・・・その見極めは難しい。

創り手側の意識とは別に、それを見たり聞いたりした人によって芸術にもなれば、そうでない場合だってあるし。

辞書によると芸術とは"独得の表現様式によって美を創作・表現する活動。また、その作品"とあるが・・・。
美意識は、やっぱり十人十色。

私のイメージだと、芸術は内向的なモノで商売に近づくと外向的なモノ・・・になるような気がする。

芸術家がそれでメシを食うためには・・・。
いうなれば独りよがりの世界をより多くの人に共感してもらう必要がある。
しかし、商売となるとまったく逆で、まず最初にお客さんがいて・・・そこに近づくために一生懸命考えるという姿勢が重要だ。

絵を描くコトも得意だった
本田宗一郎は、製品開発においてテクノロジーだけでなく、デザインも重要視していた。
車やバイクだって、その性能以上にカッコよくなきゃ売れないから、当然といえば当然の話だが。

そんな本田は、芸術とデザインについて、きっぱりとこう言っている。

「デザインというものは一種の流行だ。流行は現在が良ければいい。
 それでは芸術は何かといえば・・・
 いつ誰が見てもうなづけるものでなくてはならない」

そう考えると、芸術だと思っていたモノが、本当に芸術として成り立ったかどうかは、今すぐには・・・。
ひょっとするとゴッボのように生きてるうちにはわからないコトになる。

それでも「これは絶対に芸術だ」と言い張るのは、やっぱり独りよがり・・・と見られても仕方ない。
食べていければ問題ないけど、食べてもいけないくらいでは・・・とてもじゃないけど続かない。

やっぱり、ルノアールの志で職人のように目の前の仕事をこなしていくのが一番かな。
少なくとも・・・かなり孤独と貧乏に強くないと芸術家はつとまらないだろう、ね。
BBS症候群の私には・・・まず無理だ。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊
     「俺の考え」本田宗一郎=著 新潮文庫=刊

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