Episode No.3776(20100930):
安く贅沢気分が味わえる温泉レポート-4 本格的な秋の行楽シーズンを迎え、 赤沢日帰り温泉館 [上] 最寄り駅は伊豆高原になると思う。伊豆高原行きのシャトルバスも出てたし。しかし、伊豆高原からは10km近く下るだろう。田舎道の10kmなど車で走ればあっという間のようでいて、このあたりは休日になると最も混雑する地域だから、休みに訪れる時にはそれなりの覚悟が必要。伊豆高原の頭に車はピクリとも動かなくなっちゃうからね。 「赤沢日帰り温泉館」はあのDHCが経営をしている。宿泊施設やボーリング場などもあるDHCの一大リゾートパークといった感じ。故に風呂場に置いてある石けん類もすべてDHC製。しかし化粧品って儲かるんだなぁ…。 「温泉館」は4階建てになっていて、3階、4階が温泉。9月の三連休に行った時には3階が男湯で4階が女湯だった。 海に向かって突き出した広いテラスに露天風呂があり、これが絶景。肩まで浸かって地平線をみると、まるで温泉が海までつながっているように見える。 ただし、気分よく地平線を眺めていても、時折その間に入ってくる人がいるから注意が必要だ。 この間も司馬遼太郎のような髪型をした松本清張の唇を持つおじさんがズンズンやってきた挙げ句、建物のすぐ下がどうなっているのかが気になったらしく、立ち上がって懸命に見下ろしていた。もうそうなると私の目の前にはおじさんのケツしかない。 さすがに入館料が「高原の湯」の倍近いだけあって、こちらは中の風呂も充実している。ジャグジーはもちろん、DHCの宣伝を兼ねたミルキーな湯とか。サウナもドライサウナのほかに広いミストサウナまで完備されている。 私の好きなドライサウナもまた海に面している。 海側に広いガラス窓があって、それに向かって通勤電車のように横一列に座るようになっているのが、ちょっと不思議な感じ。 例によってサウナと水風呂を往復しながら、夕暮れの海をじっくりと眺める。 東伊豆では日の出は見えても日の入りは拝めない。車の列で縁取りされた半島の山々が紫色の背景に浮き上がって見える。その山並みを見上げては、水墨画のようなあの西伊豆の景色を想像していた。 やがて日がとっぷりと暮れてしまうと、ガラス窓にはサウナルームに並ぶ人の列が映し出されるようになって何とも気恥ずかしい感じがしてくる。 仕方なく「あしたのジョー」のラストシーンのようなポーズで熱さに耐えていると、左側にドスンと人が座った。私が目を落としていた自分の足下のすぐわきに、30cm以上もあろうかという大きな足が見える。左側を直視したかったが、それも失礼かと思い、恐る恐る正面のガラスを見上げると、自分の陰が子供に見えるほどの大きな男が座っている。私は身体が小さい方だけど…それにしても、まるでゴリラだ。 そういえばサウナに入る前に白人の子供がいたのを珍しく思った。きっと、その親父に違いない。 そろそろ出ようかと思っていたけれど、ここで先に出ては日本男児の名折れだと勝手に思い込んでいると、2分としないうちにゴリラマンはそそくさと出て行ってしまった。 後で見たら、そのゴリラマンは決してアンドレザ・ジャイアント系の男ではなく、顔だけ見ると北欧系のジェントルマンだった。体は大きいが均整がとれているので、鉄道模型でいえばNゲージの中にHOゲージを並べたような違和感を感じたよ。 ■このシリーズのバックナンバー Copyright 1998-2010 digitake.com. All Rights Reserved. |