缶切りが発明されたのは、
缶詰が発明されてから
半世紀も後のことだったし…
実は電話よりも前に
FAXが発明されていた
…というような意外な話は多い。
同じように、
なんと万年筆が発明されたるよりも、
タイプライターが発明された方がはるかに早かった。
ただ、タイプライターは
1人の人間が発明したものではなく、
改良に改良を加えてできたもの。
日本ではまだ江戸時代だった1829年には、
ウィリアム・オースチン・バートが
typ"e" writerの先祖 typ"o" writerで
特許を取得しているし、
それ以前にも、タイプライターの祖先には、
いくつかの特許があったようだ。
もともとタイプライターは
文字が書けない人のために開発されたもので、
初期のタイプライターの欠点は
…手書きより時間がかかることだったらしい。
1867年になって、
クリストファー・レイサム・ショールズらが発明した装置は
初めて商業的にもの成功を収めたものの、
発明者本人も気に入らない出来で、特許は売り渡され、
ミシンを製造していた工場が量産を開始。
1873年にtype writerという名で発売されることになった。
その開発の目的が
現在一般的に使われている目的と異なるが故、
広がるのに時間を要した道具は、ほかにもいろいろある。
例えば自動皿洗い機。
使用の目的は昔も今も皿を洗うことに違いはないが、
開発の目的は
決して皿洗いの重労働から救うことではなかった。
開発したのは
ジョセフィーン・コクランというアメリカの女性。
開発に着手したのは1880年で6年後に一応完成を見る。
やっぱり開発者は女性…なのだが、
彼女は政治家の妻で
使用人を何人も抱える裕福な家にいて、
本人は皿洗いなどやらない。
それじゃあ何故、
皿洗い機を開発しようと思ったかといえば、
使用人たちのため…ではなく、
頻繁に催されるパーティーの度に
使用人が高価な皿を割るのに業を煮やしてのこと。
同じ悩みを持つ同レベルの貴婦人たちや、
高級ホテル、レストランには
彼女が開発した皿洗い機は、そこそこ普及したが…
大量な熱湯を沸かすことが出来ない一般家庭には、
なかなか普及しなかった。
熱湯殺菌の有効性を訴えるも、
案外、皿洗いが気分転換になっているという
一般の主婦たちにとったアンケートの結果に
高級マダムも太刀打ちできなかった。
で、結局、自動皿洗い機が
一般に普及するようになったのは
開発から64年以上経った
1950年代に入ってからのことになる。
さて本題の万年筆だが…
万年筆が発明されたのは、
タイプライターの祖先の誕生から半世紀以上後…
type writerという名称ができてから数えても、
ちょうど10年遅れの1883年になってからのことだ。
…というところで、
今日も長くなってしまったので続きは、また明日。
3634 憧れの道具たち〜その歴史を探る(1)