物を売る仕事で一番難しいのは
…欲しい人を探し出すこと。
店を開いて訪れた客に声をかける。
実際にサイフを開かせるためには、
それなりのテクニックはいるだろうけれど、
もともと欲しい物があって来た人だから、
すでに最初のハードルは越して来ている。
広告を打って、
問い合わせのあった人を
相手にする場合もこれに似ている。
対応する「売り子」がいれば、
まぁ何件かに一件は売れるだろう。
では…
店もない、広告を打つ予算もないけれど
売りたい物がある場合には、どうするか?
自ら出向いて行くしかない。
どこに行ったら
欲しい人がたくさんいそうか…
それを見つけるのがマーケティング。
「売り子」にできるのは商品説明だけで、
マーケティングはできないだろう。
同じ「物を売る」という仕事であっても、
そこに「営業マン」と「売り子」の大きな違いがある。
さて、ターゲットを見つけた営業マンが
次に行うべき事は、種をまくことである。
これから開墾しようという人に種を渡しても
実際に種をまいて芽が出るまでには
相当な時間がかかる。
すでに畑を管理している人に種を渡せば、
すぐにまいてもらえる可能性は高い。
…が、
新しい種をまいてくれる土地の余裕…
あるいは、
今まいている種より儲かる確証がなければ
新しい種はまいてもらえない。
最も理想的なのは…
何かを必要としている人が
相談をもちかけてくれることだろう。
あの人に聞けば、
求めていた答えがでるかもしれない。
…より多くの人に、そう感じてもらえれば、
店も広告も、マーケティングさえなくても、
とりあえず仕事はつながってゆく。
看板も鞄(金)もない会社で
食いつないでゆく唯一の方策は…
物を売ることではなく、自分を売ること。
わかってくれる人を探すのではなく、
わかってもらえる自分を作るしかない。