Episode No.3449(20090915)：
ビートルズの仕事

ビートルズの名曲の数々が
最新のテクノロジーで蘇った。

世界同時発売されて、
立地上、最も早く発売される日本では
ボジョレーヌーヴォーのような騒ぎにも。

その夜…
たまたま深夜、テレビをつけると
NHKでその特集番組みたいのをやっていた。

リマスターの試みは
1980年代にもあったようだが、
当時の技術はまだ充分ではなく、
今回のデジタルリマスターでは、
50年近く前の録音が、
まるで昨日今日録ったくらい
鮮明に聞こえるようになったみたいだ。

しかし…
商売上の必要性はあるとしても、
そのほかにいったいどんな意味があるのかな？
正直、商売以上の価値は
…素人の私にはわからないな。

一刻も早く、新しい音源を聴いてみたいという人の列は、
どう見ても、リアルタイムなビートルズ世代だし。

リアルタイムなら…
たとえ音質が悪くても、
記憶がそれを補ってくれるはずじゃないのか？
…なんて思ってしまう。

楽曲そのものについては、
そんな感想しか持てなかった私だが…
当時のアビーロード・スタジオでの
若きビートルズの面々のインタビューフィルムには
新鮮な驚きを隠し得なかった。

今や伝説、いや古典にもなっているビートルズも
当時は順位を競う流行歌の歌い手で…
今度発表した曲が、はたして何ヶ月人気を保てるのか、
不安いっぱいの日々だった。

とても何年も先まで聴かれるとは信じられなかったし、
解散後、何年も経った後のインタビューでは、
まさかこんな昔の話を
正式にインタビューされる日が来るとは思っていなかった。

ただただ、目の前の仕事に必死で取り組んだ…結果。

おそらくイチローだってそうだし、
連載から30年以上経って
TVドラマ化された「こち亀」だってそうだろう。

本物の成功は自分が想像できないところにあり…
本当に自分を支えているのは夢でも希望でもなく
…その時、与えられている仕事なんだ。