先日、川端康成に
あらためてちょっと興味を持ったので、
「文豪ナビ・川端康成」編を開いてみた。
昭和5(1930)年の雑誌インタビューに
川端康成が望む生活について掲載されていた。
「伊豆の踊子」を刊行して3年、
売れっ子作家の仲間入りを果たした
当時30歳か31歳の川端康成は、
こんな生活を切望していた。
いわく…
妻は持たず妾と暮らしたい。
子供はつくらず貰い子がいい。
同居する女は教養が低い方がいい。
さらに…
家は建てず、そのかわり
月に10日は旅に出ていたい。
仕事はすべて旅先でしたい。
そして…
月末に困らぬよう印税で暮らしたい。
これが日本初のノーベル賞を受けた作家が
ノーベル賞を授与される約40年前の姿だ。
経済観念は実に俗っぽく、
おまけに極めて自分勝手。
決して誉められた態度ではないと思うが、
作家を目指す誰もが理想とする姿かもしれない。
この理想だけ真似するも、
まともな作品を仕上げることもない
自称・作家も世の中には大勢いたことだろう。
むろん、それではノーベル賞どころか、
本が刊行されることすらない。
かのアインシュタインも…
ノーベル賞がほしかった最大の理由は、
その賞金で前妻に慰謝料を支払って
離婚したかったからだという。
歴史に残る偉人も、
その活動の動機や理想は案外、陳腐だったりする。
しかし、その動機や理想をカタチにする執念は
…やっぱり人並み外れたものだったんだろう、ね。