生前に出版された本は2冊だけ。
それも、まったく売れなかった。
見かねた挿絵画家のはからいで、
雑誌に1ページの無料広告を出したが
・・・それでも注文は、なし。
彼の本を出版するために
出資してくれた恩人は・・・
仕方なく、売れない本を
町内の子供のかけっこ大会の賞品にした。
さすがの彼も、
これでは協力してくれた人たちに
申し訳が立たず・・・
自分で自分の本を100冊買い取った。
・・・それも、父親から借金した金で。
今、もし・・・
この初版本を手に入れようと思ったら
・・・少なくとも数百万円。
生原稿なら、数千万円。
親友に宛てた手紙でも、
なんと1億8,000万円という鑑定も出てる。
むろん・・・
そんなことは作者である
彼の本意ではないだろうし、
作家になってひと山当てようなどという気は、
最初からさらさらなかったに違いない。
何故なら彼は
・・・宮澤賢治だから。
参考文献「宮澤賢治10の予言」 石 寒太=著 幻冬社=刊