Episode No.2839(20070926):
対策
昔勤めていた小さな会社で、
こんなことがあった・・・
事務所に私しかいないところを見計らって、
事務の女性が近づいて来るなり領収書を見せた。
それはテレビの領収書で
社長が事務の女性に出金処理を命じたらしい。
事務所のテレビは確かに
少し大きなものに変わっていた。
ただし、社長の家のお古のテレビ・・・だ。
事務の女性にしてみれば、
会社の金で自宅用の物を買うなどけしからん
・・・ということなんだろうけど、
実家が商売をしていた私にとっては、
そんなことは当たり前・・・だと思った。
確かにこの社長のやり方は、うまくはない。
少なくとも従業員に反感を買っているのだから。
サラリーマン的な感覚でいえば、
自宅用の新しいテレビを買う金があるのなら
少しでも社員に還元してほしい
・・・と感じるだろう。
しかし・・・節税対策というのは
実はそんなに単純なものではない。
物を買った場合、
1枚の領収書が、おおよそ20万以下であれば
経費として落とせるが・・・
社員に賞与として支払えば、
それは儲かった金と見なされて税金がつく。
社員も所得税を支払わなければならない。
つまり会社とは・・・
あまり儲かったように見せない方が
税金対策としてはいいのだ。
別な例で言えば・・・
ある商品が売れて100万の売上があったとする。
原価が50万であれば
残りの50万が粗利ということになり、
その粗利に対してヘタをすると
半分の25万くらい税金でもっていかれる。
ところが・・・
儲かった50万のうち、
30万円を広告等の経費にあてれば
粗利は20万となり、課税対象もその分だけ。
たとえ半分税金にもっていかれても10万で済む。
残る現金は25万から10万に減ってしまうが、
30万分の広告をすることで、
また次に商品が売れるようになる。
たとえ25万を手にしても、
そのままでいたら次の商品は売れない。
商売は一度にドーンと儲けるより、
少しずつでも安定して儲ける方が
安定しているし、長い目で見れば儲けも多い。
サラリーマンにとって借金は、
しないに越したことはないが・・・
会社にとっては、
銀行から借金できないほどでは
社会的な地位を疑われる、ということもある。
かように・・・
サラリーマンの常識と
法人や法人を運営する側の常識や対策は
・・・異なるものなんだ。
会社に対して、わかったようなことを言う前に、
自分のために会社がいくら負担しているのか
・・・調べてみる必要もあると思う、な。