Episode No.2820(20070903)
或る青年の落とし前

経済学部といえば
高校で言えば「普通科」と同じだ。

自分でとくにやりたいことも
見つからなかったし、
とりあえず大学に合格したので
経済学部へと進んだ。

大学の4年間は、
いわば社会に出るまでの執行猶予。

短大のように詰めて勉強すれば
2年間でやれそうなことを
長い休みをとって
余裕に余裕を重ねながら4年かけて学ぶ。

余裕がある時に
自分なりに勉強を進めるのなら
4年かける意味はあるだろうが・・・
執行猶予だと思うと
今のうちに遊んでおこう
・・・という気持ちが先に立つ。

いよいよ就職の時期を迎えたが、
大切な人生を金に換えるために働くのは
人生の無駄遣いだとか何とか言って
執行猶予期間を延ばそうとする。

そのくせやっていることと言えば、
遊ぶ金がなくなれば短期バイトで金を稼ぎ、
少しでも金に余裕かあれば遊びまくる
・・・という繰り返し。

フリーターと言えば今風だが、
単なる日雇い労働者だ。

若い・・・という
自分の努力によって得られたものでも何でもない
特権を食いつぶしながら・・・
根拠も方向性もない可能性だけ信じている。

信じたいと思っていたものが、
本当は存在しないものだと
理解せざるを得なくなるより前に・・・
真剣に守りたいと思う
自分以外の対象が現れたことは幸せだった。

人を愛することによって
彼(ひょっとすると彼女)は初めて自ら動いた。
2人で幸せになりたいと真剣に思った時、
・・・戦う勇気がわいてきた。

・・・こういうパターンも少なくないと思う。

世の中のパターンに陥りまいとする
若者が陥るパターン。

パターンを覆せるかどうかは・・・その後次第。