Episode No.2819(20070902)
或る主婦の落とし前

転ぶのが怖くて自転車に乗れなかった。
車が危ないから
歩いた方がいい、なんて言い訳しながら。

学生時代はバス通学で、
しばらく自転車のことを忘れることができた。

結婚して買い物に行くのに
自転車の方が、はるかに便利なことは、
よくわかっていた。

それでも頑張って歩けば、
どうにか事は足りた。

子供が産まれて幼稚園に入り、
決められた時間までに
家に戻らなければならなくなると、
とてものんびり頑張っている暇はなくなった。

食卓には冷凍食品が並ぶことが多くなった。

一番困ったのは・・・
子供に自転車の乗り方を教えてやれないことだった。

危ないから乗らなくてもいい
・・・と言うことは簡単だ。

でも、友達にできて
自分にできないことがある悔しさは
・・・私にもよくわかる。

いろいろと調べて知識はつけたものの、
いざバランスをとろうにもうまくいかない。

何十冊の本を読んでも、
練習しない限り乗れるようになれないことは、
わかっていた・・・が、
それとて、
わかっていることと、できること
・・・やはり、違うのだ。

どちらが早く自転車に乗れるようになるか。
今は子供と競争している。

・・・そんな主婦は、きっと少なくないと思う。