Episode No.1551(20030814)
不思議な縁

下北沢のお芝居関係で
少し前に知り合ったSさんとは・・・
奇遇にも自宅が近所だった。

そんなSさんと、話をしていたら
ひょんなことから
ここでも何度か話したことのある
高校時代に亡くなった私の友人の話になった。

友人はM海岸で亡くなった。

高校3年の夏休み・・・
学校での補習を終えた後、
彼女と2人でM海岸へ泳ぎに行って
2人とも溺れてしまったのだ。

彼女はすぐに海岸に打ち上げられたが
友人の方は、一晩中見つからなかった。

「彼女が死んでしまって怖くなって、
 どこかへ行ってしまったんじゃないか?」
・・・という憶測もあった。

結局、翌朝・・・
変わり果てた姿で見つかったのだが。

そんな話を聞いていたSさんが
ふと首をかしげた。

「それって、いつ頃の話です?」
「20・・・3、4年前」
「・・・あ!」

20、3、4年前・・・
小学生だったSさんは
家族でM海岸に海水浴に行っていた。

そのすぐわきで・・・
若い男女が仲良くはしゃいでいたという。

やがて
2人の姿が見えなくなったかと思うと、
気がついた時には、
彼女の遺体が海岸に打ち上げられていた。

警察がやってきて、Sさんの母親が
「もう一人いたはずだ」と証言して
捜索がはじまったらしい。

「彼女が死んでしまって怖くなって、
 どこかへ行ってしまったんじゃないか?」

わきで見ていた小学生のSさんは
その言葉を今もはっきり覚えていた。

・・・間違いない。
私と別れた後、
奴は小学生だったSさんに会っていたのだ。

アイツの話を
Sさんにいろいろ聞いてもらって・・・
23年ぶりに、Sさんの記憶にあった
奴が逃げ出した・・・という誤解は
解くことができた。


参考資料:こんなことって・・・宝くじが当たる確率より低いんじゃないか?