Episode No.1219(20020722):役目は・・・ある

また、今年も・・・この日がやってきた。

今日、7月22日は
高校時代に死んだ友人の命日だ。

私の部屋には
その友人が来ていたジャージが飾ってある。

その胸には・・・
手書きの、決してきれいとは言えない本人の字で
名前が書いてある。

あれから20年以上が経ったとはいえ・・・
まだ少しくらいは、
あいつの汗が染み込んでいることだろう。

あいつが死んで、自分はまだ生きている。

そう考えた時・・・
生かされてるんだと思うしかない。

これまでの人生で・・・
何度か死んでもおかしくないような目にあった。
そんなことが笑い話として言えるということは
やっぱり生かされてるんだよな。

本田宗一郎は、かつて・・・
「おいしい水が飲みたい」と言って
自宅の庭に250mもの深さの井戸を掘ったらしい。

すると、予想外にいい水が湧き出て
「この水なら鮎が飼える」と
今度は幅5m、長さ50mもの小川を作った。

川が作れる庭があるというのもスゴイが
何よりスゴイのは・・・やっぱり行動力。

ところが・・・
その行動力をもってしても
小川は、なかなかうまく作れない。
水が濁って、すぐに腐ってしまうのだ。

プールを洗浄用の巨大フィルターまで取り付けたが、
それでも、うまくいかず・・・
しまいには専用のジェット噴流装置を開発するに至った。

そこで本田宗一郎があらためて知ったのが
・・・自然の偉大さ。

「自然に無駄はないと言うが、まさしくその通り。
 厄介な洪水でさえ、あれがあるから
 大きな石の裏側が磨かれて小川は腐らずに済む」

人間だって・・・自然の一部に過ぎない。

私の友人は・・・
残念ながら17年で役目を終えてしまったけれど
私の役目は、まだ終わっちゃいないようだ。

その役目を見つけるのも・・・
生きてる者の仕事のうちだ、ね。


参考資料:「本田宗一郎語録」本田宗一郎研究会=編 小学館文庫=刊