Episode No.961(20010924):ニンゲン万歳
ネットを通じてお知り合いになれた皆さんのおかげで・・・
すっかり芝居づいた私だけど
実は以前から注目し続けている芝居があった。
イッセー尾形の"ひとり芝居"だ。
あいにく実際の舞台を観たことはないが・・・
ビデオが出ると、ほぼ確実に観る。
微妙なあの表情を観るには、かえってビデオの方がいいかも知れない。
でも、ナマで観てみたいけど。
ご存知のように、イッセー尾形は、いわゆる"お笑い"から登場した人。
今は亡き、山田康雄の名司会も懐かしい「お笑いスター誕生」で勝ち抜いたが・・・
グランド・チャンピオンは逃している。
グランド・チャンピオン大会での審査員、赤塚不二夫がこんな評を口にしていた記憶がある。
「尾形さんのは、もはや"お笑い"ではない」
確かに、イッセー尾形の"ひとり芝居"には
腹を抱えて笑えるモノもあれば・・・
職務を全うしようとして考えに考えすぎた挙げ句、
一時的に記憶喪失に陥ってしまうサラリーマンや・・・
年をとって心細くなった男が、
かつて自分が捨てた家族を食事に招待する話など・・・
とても、笑えない・・・むしろ怖いと感じるモノもある。
今では、アメリカやドイツなど・・・
海外で同時通訳による舞台もこなす一方、
役者のほか、イラストや小説も手がける才人だ。
先日、久々にCDショップに行ったら・・・
まだ観ていないイッセー尾形のDVDが出ていたので早速買ってきた。
最近は・・・というか少し前から、女性も演じてるんだよねぇ。
このDVDにもいくつか女性を演じているものがあった。
雑踏の中で待ち合わせの彼を待つ女性が誰かに声をかけられる。
「何? お祈りさせてください?
何を? 私の幸せを?
と、いうことは・・・
あなたは私より幸せだっていうこと?
あなたは宗教のおかげで幸せなんでしょ?
私は宗教やってなくても幸せなの。
さあ、どっちが幸せなんでしょう?」
また、別の作品では売れない、クラい感じをフォークシンガーを演じてる。
ギターもちゃんと自分で弾いてる・・・しかし、器用な人だ。
イッセー尾形が歌う、パロディっぽい歌だと思うから、みんな笑うけど・・・
同じ歌を中島みゆきや井上陽水が歌ってたら・・・
中には涙する人も・・・いるんじゃないかな?
イッセー尾形の提供する笑いは・・・
秋の夜のように深い。