Episode No.1153(20020506):下北沢そぞろ歩き
ゴールデン・ウイークも終盤。
あいかわらず高速道路は何十kmという渋滞が続いているようで・・・。
私の実家は隣。
高校の後輩であるカミさんは同じ学区なので
実家まで、うちから車で10分の距離。
・・・と、いうことで
盆、暮れ正月、そしてゴールデン・ウイークとはいえ
我が家には特別に出かけていく場所がない。
みんなが田舎に帰ると、首都圏の道路が空くので
こういう時は、たいてい家族連れで都内に遊びに出たりする。
今回出かけてみたのは、下北沢。
目的はお芝居を観ることなんだけど・・・
珍しく、いつもは歩き回ったことのない
商店街をブラついてみた。
この街は、実に不思議な活気に満ちあふれている。
狭い路地を大勢の人が行き来している姿は
まるで中華街並みだ。
しかし、この街に特別な観光名所があるわけではない。
小さな劇場がたくさんあるので、何となく文化的な香りもあるし
雑貨屋にも、何かこだわりを感じるが・・・
みんな何を目指して歩いているのかは、よくわからない。
渋谷にも近いが・・・
渋谷のように若者だけが、あふれかえっているわけでもない。
腰のまがったバアさんもいれば、
職業のよくわからないオッさんもいる。
おそらく・・・
私も、その後者に見られているだろうけど。
決して若者中心の街とも言えないことは
立ち並ぶ無数の個人商店を見てもわかる。
せんべい屋があったり、漬け物屋があったり・・・
アサリやシジミを売る間口一間ほどの店がある。
私にも記憶がある・・・昔は、みんなこうだった。
今の子供たちは・・・
店と言えば、スーパーとコンビニ、デパートしか知らない。
自動車どころか、自転車さえ通り抜けられないような
入り組んだ路地をどんどん入っていくと・・・息子が言った。
「ここって、わざと昔みたいに汚くしてるの?」
息子は、こういう景色を
昭和30年代の街並みを再現した『ラーメン博物館』でしか見たことがない。
どんなに狭くても、汚くても・・・
この街には大型ショッピング・モールにはない活気がある。
客の多さで言えば・・・
お台場のヴィーナスフォートや
それこそディズニーランドからは比較にならないけど
大きな違いが、ひとつだけある。
それは・・・
そこに住んでいる人がいるか、いないか・・・だ。