Episode No.1431(20030326)
心に残る野垂れ死に?

「いまの日本では、
 死ぬことはやさしいことではない。
 死ぬことさえ難しい。
 死は計画どおりにはいかないであろう」

先日・・・
2003年3月24日に77歳で亡くなった
俳優の天本英世さんが
1993年に出したエッセイ集の一文だ。

その見出しは・・・
「野垂れ死には覚悟の上・・・」

私たちの年代にとっては
仮面ライダーの死に神博士の印象が強いが、
このエッセイ集は
『平成教育委員会』で人気を得て編纂されたもので
タイトルは『天本君、吠える!』

笠智衆さんのように
 80何歳までもぼくはとても生きられまいが、
 最後、何歳で、どのように死んでいくのであろうか?
 (中略)
 ぼくはただ、スペイン人のように、
 昨日も一昨日のこともなく、
 明日も明後日のこともなく、
 ひたすら今日のこと一日を
 懸命に生きていくだけである。
 ・・・本当に明日、
 死ぬことになるかもしれないのだから」

若いから明後日まで生きてるという保証
どこにもないんだよね。

ことに、いつ戦争の火の粉が降るかわからない
物騒な時代だし・・・。

かと言って、消極的になるのも
それはそれで考え過ぎ

考え過ぎて、何もしない方が
ある意味、楽かもしれないけれど・・・。

人間は、過去にも未来にも生きられない。
そんなのは幻影で・・・
あるのは、やっぱり今だけだ。

「男は、
 女は凄いものだとわかって死ねば、
 それでいいのである」
・・・天本英世


参考資料:「天本君、吠える」天本英世=著 ワニの本=刊