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Episode No.564(20000617):素子さんへの手紙

福田素子さんの『空への手紙』を読んだ。
まだ、第1巻までだけど・・・5巻までは買ってある。

BBSにも遊びにきてくださる福田さんは、ご夫婦でひとつのペンネームを持つ漫画家さん。
うちの夫婦では・・・とても真似できそうにない偉業をされている。

有森也実主演でテレビ化もされた『空への手紙』は・・・。
長期入院のために学校へ通えない子供たちのために開かれた病院内学級をまかされた若い先生の奮闘記。

子供の数が少ないので、ひとつの教室に学年の違う子たちが集う・・・。
それだけでも、やりにくいとは思うのに、もちろんみんな大きな病気を抱えている。
不安の中で語られる子供たちの夢。
そして、現実として立ちはだかる・・・死という、この上なくつらい別れ。

この設定と内容だけ聞くと、ずいぶん暗い話に思えてしまうかも知れないけれど・・・。
時折は涙を見せるものの・・・主人公はきわめて明るい。
そして、漫画全体が持つイメージも決して重苦しくはない。

難しい話を難しく語るのは簡単だ。
難しい話を誰が聞いてもわかるように話すためには、相当わかっていないと語るコトはできない。
同じように、一見暗い物語を明るく希望に満ちたものにするのは大変なコトだと思う。

限られた空間をリアルに描くための取材や勉強はもとより・・・。
そういう意味で、この物語は「スゴイ」とつくづく関心して読んだ。
本来、教師が大キライな私でも、ね・・・こんな先生なら。

やっぱり
漫画はすばらしいメディアだ。
こんな、いい話もあるんだというコトを、ぜひ化石のような頭を持った人たちにも知ってもらいたい。

そして、
インターネットのつながりというのも、すごい。
私も小さい頃から漫画は大好きだけど・・・いわゆる少女漫画はなかなか読む機会はなかった。
しかし、ネットで福田素子さんとお知り合いになれたおかげで、こんなすばらしいお話も読むコトができた。
また続きを読むのが楽しみだ。

最後に『空への手紙』第1巻から名セリフをひとつご紹介・・・。
ちょっと人間的にデキ過ぎた主人公の婚約者(素子さん、すいません)の言葉。

「人はだれもが特別で だれもが特別ではないんじゃないだろうかって
 ぼくはついも思うんだよ
 ぼくらだって知らされてはいないだけで 
明日死ぬかもしれない
 けれどたぶん死の その瞬間まで生きるために
 明日を想うことをやめないんじゃないだろうか」


参考資料:「空への手紙1」福田素子=著 講談社漫画文庫=刊 

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