Episode No.1338(20021207)
幻の遊園地

見上げるデパートの屋上には遊園地があって、
みんなが楽しそうに遊んでいるという。

毎日のようにそこへ出かけて行こうとするが、
あいにくそのデパートにはエレベータがない。

目にも止まらぬような速さで動くエスカレータと
階段があるだけだ。

エスカレータの乗り口には
いつも大勢の人がひしめきあっている。

大空を見上げて
屋上の遊園地で遊ぶことに
期待をふくらませながら・・・
ひたすら順番を待つ。

日暮れ近くになって
ようやく自分の番がまわってくる。

・・・が、しかし
あまりにも速いそのエスカレータに
一歩を踏み出すことができない。

ジッと目をこらして動きを見ているつもりだが
タイミングがまったくつかめない。

やがて・・・
後ろに並んでいる人が苛立っているのが気がかりで
仕方なく順番を譲る。

一人、また一人・・・。

もう後ろには誰もいなくなって
これでようやく自分のペースで踏み出せる
・・・と思ったら、あたりが暗くなった。
・・・閉店だ。

階段を上っていれば
もう何往復もできた距離なのに。

こんなこと・・・してないか?

階段を上ったてきた人の大半は
もう二度とその遊園地に行こうとはしない。

最初は楽しく遊べたような気もしたが
実は・・・
遊ばれているだけということに気づいてしまったから。

それでも・・・
また別なデパートを屋上を
目指しているのかもしれないけど、ね。


参考資料:本当に大丈夫?