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Episode No.173(990317):みそ汁の冷めない距離

人間ほど、親子の関係が複雑な動物もほかにないだろう。

地球上にいる、たいていの動物の場合、親離れ、子離れはハッキリしている。
群を作る動物の場合には、群全体で子供や年寄りの面倒をみている。

高等動物でありながら、一人前になるまでに人間ほど保護が必要な動物もいなければ、自然に死んでゆくことができない動物もいない。

「みそ汁の冷めない距離」という言葉は、もともとイギリスのJ.シェルドンという人が1948年に最初に使った「スープの冷めない距離」という言葉がもとになっている。

今からちょうど10年前の1988年。
東京都老人総合研究所の心理研究室が、実際に「みそ汁の冷めない距離」というのが、どれくらいの距離なのかを実験により算出している。

みそ汁がおいしく飲める温度は、65〜75度。
でき立てのみそ汁を放置して、65度の温度に下がるまでの時間は約30分。
女性の平均歩行速度は、分速71.8mであることから、30分あると約2,100m歩くことができる。

そこで「みそ汁の冷めない距離」は、歩いて30分以内。距離にして約2kmであるという結論に達した。

自宅から2kmというと、車庫証明をとる時の自宅と自動車保管場所の距離規定と、ちょうど同じだ。

自宅から2km以内に必死で駐車場を探す人は多いと思うが、はたして親元から2km以内を前提に新居を探す人はどれくらいいるだろう?

家族によって考え方はさまざまだとは思うが、どんな理屈や条件があろうとも、親は確実に年をとっていくものだ。


参考資料:「昭和・平成家庭史年表」下川耿史/家庭総合研究会=編 河出書房新社=刊

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