Episode No.1295(20021018):騙さずに演じきれるか?

「演ずる」ということについて
「演ずる」ことを仕事にしている
役者さんたちと話していて・・・
あらためて感じることがあった。

役者に限らず誰でも
時には技術者や営業マンを演じたり・・・
夫や妻、あるには彼氏彼女を演じたり・・・
子や親を演じている、ということは
以前から思っていたことではあるけど。

独りでいる時には・・・
きっと独りでいる自分を表現してる。
夜道をたった独りで
車の運転をしている時が
本当に"素"の自分かというと・・・
道路の混み具合や
車内に鳴り響いている曲によって
演じているドライバー像は
異なっていたりする。

それじゃあ「演じる」って
いったいどういうことなんだろう?

「騙す」ことが「演じる」ことだと考えたら
それは、きっと大きな間違いだろう。

嘘の表現には・・・
騙されてくれる人もあれば
そうでない人もいる。

上手に観客を「騙す」役者がいたとしても
それは「騙された」と感じた瞬間に
騙したことはバレているわけだし・・・。

「演ずる」ということは・・・
「役割を果たす」ということなんだろうな。

そう考えてみると・・・
それは、舞台の上でも
日常生活においても
すごく説明がつく気がする。

さて・・・
そこで問題なのは
はたして、その場における自分の「役割」が
いったい何であるのか、を知ること。

求められているものもわからないようでは・・・
とても応えようはない。

演技・・・というのは技術。
どんな技術も求められているものがわからなければ
開発のしようがない。

求められていることをそっちのけで・・・
やりたいことをして、やったふりをするのは
・・・つまり、騙していることにならないか?


参考資料:好青年たち