Episode No.1209(20020710):ホントにできる?
もしも、貴方が天才ではないとしたら・・・
他人にできないことをやる、ためには
まず、今までの自分にできなかったことを
難なく・・・
できけば楽しみながら、できるようにしなければならない。
世間をアッと言わせる前に・・・
身近な人や、
何より自分自身をアッと言わせさせないと、ね。
自分ひとりがわかっているつもり・・・
身近な人間には理解ができないなんて
本当は・・・
自分が一番よくわかってないのは、よくあること。
この間・・・
黒澤明の絵コンテの話をテレビでやってた。
まったく絵画と言ってもいいほど
一枚の絵として完成された黒澤の絵コンテは
絵ハガキにもなったりして有名だけど・・・
黒澤がああいう着色済みの絵コンテを書き始めたのは
『影武者』以降の話。
世界の黒澤にして・・・なのか
世界の黒澤だから・・・なのか
新作『影武者』の製作資金調達は困難を極めていた。
もう、この企画は実現できないかも知れない・・・
そう感じた70歳の黒澤は、富士山麓の別荘で筆をとった。
こんな映画を創りたかった・・・
せめて、そのことを少しでも誰かに感じてもらうために。
以後、この新しい黒澤スタイルは定着し・・・
1作ごとに画集が出せるほど、黒澤は絵を描いた。
その絵コンテをいかに超えるかが
スタッフの悩みの種・・・そして挑戦する楽しみとなった。
最後の絵コンテは・・・『海は見ていた』
シナリオと絵コンテに基づいて
亡き黒澤の思いは、熊井啓監督によって映像化された。
ちなみに・・・
男の映画ばかりを撮ってきた黒澤が
次回作に選んでいた『海は見ていた』の主人公は女性。
黒澤は女を描けない・・・
という酷評に真っ向から挑んだ
・・・ラブストーリーだった。