Episode No.1135(20020415):座り込む女
先日、珍しく最終に近い電車を降りて・・・
閉店になった本屋の前を歩いていると
壁に向かって若い女の人がしゃがみ混んでいた。
週末の終電近くのこと。
さては気分でも悪いのかと、
見るともなしに見ていると・・・
ひとりで何かブツブツ言ってる。
おまけに彼女の腕のあたりから壁に向かって
何やらコードが伸びている。
つまり、こういうわけだ。
携帯電話の電池がなくなっので
カバンに入っていた充電用のコードをつなぎ
本屋の扉のわきにあった屋外用コンセントに差し込んで
立っているとコードが届かないので仕方なく
座り込んで電話している。
あらかじめコードを差して会話しているところをみると
かかってきた電話じゃなくて
自分の方からかけた電話だろう。
自宅に戻ってから、ゆっくりかければいいところだが
それじゃあ遅いのは・・・
たった今、ケンカしてしまった彼氏と話しているのか?
それとも・・・
門限をとっくに越えているので
帰ったら両親の小言が待っていて
落ち着いて電話などかけられない状況なのか?
いずれにしても不思議だったのは・・・
せめて、そんなところに座り込んで電気を盗まなくたって
公衆電話でかければいいんじゃない?
携帯電話の普及で公衆電話が減ってきているとはいえ
駅前のこの場所には10mと歩かない場所に
電話はいくらでもある。
携帯電話で話すことにすっかり慣れてしまって・・・
携帯の電池が切れたら、もう電話できないと
勝手に思いこんでしまってるんじゃないのかな?
ワープロやパソコンで
書類や原稿を書くことにすっかり慣れてしまって
ワープロやパソコンがないと書けないと思ってしまうことがある。
本当は紙と鉛筆さえあればできることなのに・・・。
確かに、後で打ち直すことを考えると面倒だけどね。
で、外出先でも打てるようにと
ノートパソコンを持ったりするけど・・・
実際のところ、すべての道具がそろっていても
書けない時は書けない。
結局・・・道具のせいじゃないんだよ、な。