Episode No.1033(20011217):ベートーベンの遺書

街中、クリスマス一色・・・
で、クリスマスの飾り付けがとれたかと思えば、もう正月だ。

何ともせわしないこの季節。
ちょっと心を落ち着かせてみようとクラシックでも・・・
と、インターネット・ラジオを接続すると
やっぱり「第九」の季節。

何故ゆえ、師走になると「第九」なのか?

その明確な理由かどうかはわからないが・・・
昨日、12月16日はベートーベンの誕生日だった。

ドイツのボルンに難しそうな顔をした赤ん坊が生まれたのは・・・
今から231年前、1770年のこと。

ベートーベンと言えば「第九」のほかにも・・・
「運命」や「英雄(エロイカ)」など有名な曲は多い。

ちなみに「英雄(エロイカ)」は、
尊敬する市民主義者ナポレオンに捧げようと作ったものだが・・・

ナポレオンが皇帝となり

「余は王冠を授けられたのではない。
 余自らの剣によって拾い上げたのだ」

と言い放ったことを聞くと、
用意していた献辞を破り捨てたという逸話が残っている。

ベートーベンの耳が不自由だったことは有名な話だが
音楽家として、生涯そのことに悩まされ・・・
医師に止められていた酒を飲み過ぎた挙げ句、
肝機能不全で1827年に57歳で死去。

・・・というのが死因の定説になっていた。

しかし・・・
2000年10月になって、その死因について新たな事実がわかった。

サザビースのオークションでベートーベンの毛髪を手に入れた
サンホセ州立大学のベートーベン・センターは
その毛髪を毛髪鑑定の権威であるウォルシュ博士に依頼。

その結果・・・ベートーベンは鉛中毒であったことが判明した。
なんと常人の100倍もの鉛が検出されたのだ。

とはいえ、どうしてそれだけの鉛が摂取されたのか・・・
謎は深まるばかり。

この謎が解ければ・・・
ベートーベンを生涯悩ませ続けた病の謎も説けるかも知れない。

「私の死後でもいい。
 どうか私の病の原因を突き止めて欲しい」

と、いうのはベートーベンの遺書の一説。
その願いが死後170年以上たった今、叶えられようとしている。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊
     「死に方科学読本」藤沢晴彦=著 徳間書店=刊 ほか