架空対談 弟子とは
Y「鳩山の孫はだいぶ苦戦したようだな」
N「あんたの弟子たちもシブといね、まったく」
Y「ワシは何も教えとらんよ・・・田中君の影響だろう、ありゃあ。浪花節好きの」
N「浪花節ねぇ。今じゃすっかり聞かなくなったみたいだけど・・・根が浪花節だからなぁ、日本人は」
Y「それも結構だが、それで通用するのは国内だけだよ」
N「さすがは外交の長老・・・言うことが違うね」
Y「アンタこそ教育者なんだから弟子は多いだろ?」
N「うん、まあ・・・でも文学なんてモノは手をとって教えられるモノじゃないし」
Y「そりゃ政治だって同じだよ」
N「そうかも知れんね。結局、何を教えたつもりでいても受け継がれるのは精神だけ」
Y「アンタは目に見えるモノをたくさん残してるじゃあないか・・・本というカタチで」
N「あれも精神なんです、結局はね。書かれているのは文字という記号だけだ」
Y「うん、しかしアンタの孫にゃあ、アメリカ行って本出したのもいりゃあ、漫画家になったのもおる」
N「そうは言っても、彼らと接点はないし・・・彼ら自身、私のことは一般の読者と同じように本を通じてしか知らんでしょう」
Y「最近はアンタの本は読んだことはないが、顔はよく知ってるっていうヤツも多いだろう」
N「あれは、まったく予想外のことで・・・」
T「いやいや、遅くなって失敬、失敬。先生方、何の話で盛り上がっておられましたかな?」
Y「来たな。浪花節語りが」
T「浪花節! おーこれは、これは。ひさしぶりに一席ブチますか?」
N「元気がいいね、あいかわらず。娘さんもソックリじゃないか」
T「ハッハッ! 先生方にあっちゃ私もカタなしだ。では一席。・・・旅ゆけば〜♪」
Y「かなわんなキミには。だが、キミがお札の肖像になることは・・・まず、ないだろ」