Episode No.937(20010827):自由な発想、不自由な意識

今から218年前の今日・・・1783年8月27日、
ボイル・シャルルの法則で有名な
フランスの物理学者シャルルのアイデアが・・・初めて空を飛んだ。

水素ガスを使った気球の実験に成功したのだ。

この年の12月には、大型の気球を作って、シャルル自身が空に舞い上がった。
ドイツの大型飛行船「ツェッペリン号」が完成する1世紀前・・・
ライト・フライヤーが離陸する、ちょうど120年前の話だ。

科学者の仕事というのは・・・
まず大胆な仮説を発想し、
その仮説を万人に納得できるよう検証することにある。

芸術家の仕事にも似たところがあって・・・
まず「こんなモノがあったらどうか」と発想し、
それを絵画なり、文章なり、音楽といったカタチにして万人に感じさせる。

科学者や芸術家と万人との間には・・・
起業家や画商というプロデューサー的な役割をする人たちがいて
その発想を万人の役に立つように、しかも効率的に伝えることによって商売にしていく。

商売で得た金があって・・・
科学者や芸術家、そしてプロデューサーたちは飯を食い
また新しい実験に取り組むことが出来る。

サラリーマン的な感覚の仕事と、こういう人たちの仕事の一番大きな違いは・・・
時間を売っているのか、アイデアを売っているのか、ということだ。

いずれにしても仕事となれば、それ相応の苦しみはあって
どちらが上とも下とも言えない。

ただ・・・自分を縛っているものが
労働時間なのか、それとも自分がやりたいことに対する意識なのかは・・・大きく違う点。

時間に縛られている人は、タイムカードを押せば、そこから解放される。
しかし・・・自分の意識に縛られている人は、それが解決するまで安息はない。

シャルルのアイデアが初めて空を飛んだ、そのちょうど13年前。
後に19世紀最大の哲学者と言われるヘーゲルが生まれていた。

ヘーゲルいわく・・・
「世界史とは、自由の意識の進歩以外のなにものでもない」

自由を選ぶということは、何に束縛されるか・・・その自由を選んでいるだけ、なんだね。
いずれにしても、楽じゃない。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊 ほか