Episode No.851(20010518):人生・・・やるか、やらないか

「経済の曲がり角か何とかで景気が悪いとかいってますけれども、
 私は非常にこれはいいことだと思うんです。
 企業は反省時期に入ってきましたし・・・
 企業が反省して本気で考えると人の問題になってくるわけですよ。

 人をはっきり評価しなくてはならなくなってきつつあるんですね。
 そこで本当に人の力の差が出てきて、企業というものの差が出てきて
 本当に競争できる状況にいやおうでも立たされることになってくる」

ウンウンと思わずうなずきながら読んでしまった人もいると思うけど・・・
この話をした人・・・実は、ソニーの創始者、井深 大

もう、この世の人ではないから・・・
当然、この話も今の日本について語られたモノではない。

井深がこの話をしたのは昭和40年・・・つまり、今から36年も前の話だ。

よく、何千年も前のエジプトの壁画に・・・
「最近の若いものは〜」なんて書かれてたなんてコトを聞くけど
結局、使う道具は変わっても・・・しょせん人間のやっているコトに大きな差はない。

つまり・・・時代のせいにしていたのでは何もできないってコトだよね。

生まれる時代を選べない・・・
というコトに関しても、みんな平等。

世が世なら・・・なんてコトを考えるヒマがあったら
今何をするかを考えた方が賢明であるコトは言うまでもない。

慰めてほしい気持ちは誰にだってあるけど・・・
それは階段に踊り場があってほしいのと同じ程度のコトで
自分の足で階段をのぼらなければ、上へは行けないコトに変わりはない。

「知ってるコト」と「できるコト」の間には雲泥の差があるコトを
「知っているだけ」の人は実感できないでいる。

「できないコト」の言い訳に「時代」は使えないというコトも。

学生運動が盛んだった頃。
新入社員の面接に立ち会った井深は、志望者にこんな質問をした。

「学生運動について、どう思うかね?」

そら来た! と思った志望者は模範解答を口にした。

「まったく興味ありません」

そこで、井深は言った。

「興味がないのは一番良くない」

斜に構えて格好つけるだけじゃ・・・誰も認めてくれないよ、ね。
他人が本当に認めてくれるのは・・・考えじゃなくて、行動しかない。


参考資料:「井深大語録」井深大研究会=編 小学館文庫=刊