Episode No.834(20010428):妥協? 適応?

ジンメルという名の人がいる。
何を成した人なのか、まったく知らないが・・・どうやら社会学者らしい。

格言集をめくっていたら・・・このジンメルが言ったという言葉が目に飛び込んできた。

「至上の処世術は、妥協することなく、適応することである」

・・・なるほど、確かにその通りかも知れない。

とかく若い頃は、何かに毒されるのを嫌って・・・とにかく逃げまわったりする。
でも逃げまわっているうちは何も解決しないし・・・
やがて逃げるのに疲れたり、あるいは逃げ場を失って・・・「妥協」する。

最初から「適応」しようと努力すれば、何も「妥協」するコトはないのに、ね。

一方、自分は周囲にうまく「適応」しているつもりになっている人の中には・・・
実は「妥協」しているだけ、という人も少なくはない。

ジンメルの言う「妥協することなく、適応する」というのは・・・
自分の考えをハッキリ持って・・・
また、その考えを周囲に理解させるコトができる、ってコトなんだろうね。

「妥協」するのが嫌だからって「適応」できないんじゃ・・・
どんなリッパな考えを持っていたって・・・実現なんてできやしない。

たとえ実現しても・・・自己満足で終わっちゃう。
他人に理解されないことをいくらやっても虚しいだけ。

自分が生まれる前から「世の中」は、もうあるんだから・・・
その世の中に「適応」した上で、何ができるかが大切なんだろう。

逆を言えば周囲に「適応」したくらいで枯れてしまう自分の考えなんて・・・
結局は、何の影響力も持たない"その程度"の考えなんだよね。

「妥協」を許さない気持ちは、確かに大切。
でも「適応」できない考え方なら・・・工夫が必要。

工夫をこなせないような考えなら・・・捨てた方がマシだ、と思う。

少なくとも・・・
それができないと処世術は実践できない。

出世できない・・・ってコトは
いつまでたっても自分のやりたいコトはできないってコトだ。

それでもいい・・・なんてのは、よっぽど「妥協」じゃない?!


参考資料:「名言大語録」今泉正顕=編 三笠書房=刊