Episode No.773(20010216):使命の分析
日本的経営と欧米的経営の違いを・・・
寄り合い所帯の「ミコシ」とリーダーシップ型の「ボート」に例えたのは盛田昭夫だが・・・
戦略の違い・・・中でも情勢判断について
日本とアメリカの「思考の違い」をミッドウェー海戦時を例に解説している本がある。
細かな作戦の具体例は省くが・・・
そこでの興味深い考察をいくつか紹介しよう。
知っての通り、海戦の結果は山本五十六率いる連合艦隊の「まさか」の敗北。
日本軍にとって「まさか」だったこの結果も・・・
客観的に見れば必然と言えるコトは歴史が物語っている。
陸軍に比べ、はるかに合理主義に徹していたと言われ・・・
実はアメリカからも評価されていたとう山本五十六の指揮は、なぜ狂ったのか?
その最大の要因は・・・
連合艦隊司令長官、山本五十六の作戦意図が、末端の部下まで伝達されていくに従って弱められ
本来の意図が充分に伝わっていなかったせいらしい。
上官に言われた行動をとるだけなら問題はなかったかも知れないが・・・
現場に出ている部下がとっさの判断をしなければならなくなった時、
コンセプトが伝わっていなければ、上官に代わって判断を下すコトはできない。
一方、アメリカ軍では命令伝達の際に必ず・・・
「○○のために、○○という行動をすべし」・・・というカタチで
目標を堅持しながら命令を伝えるコトが鉄則とされたていた。
「何のためにやるのかなんて、いちいち言わなくてもわかるだろう」
そうした日本的な以心伝心・・あうんの呼吸で意志を伝えようとするやり方が誤解を生んだ。
そうした基本的な考え方の違いは、敵の見方にも出ている。
日本人は相手に対し「たぶん、こうするだろう」という推察を立てがちだ。
ところがアメリカ人は、まず「相手には、こういう能力がある」と考えるらしい。
相手が何をしたがっているかという気持ちの問題ではなく・・・
相手に何ができるかという現実的な能力判断を優先しているというワケだ。
だから「特攻隊」には驚かされちゃったワケだけど。
もし、自分が相手の立場だったら・・・
と、想像力をふくらませ、気持ちを察するコトは時として必要だが・・・
できもしないコトを懸命に考えても意味がない、という場合もある。
「敵は戦意乏しきも・・・出動反撃の算あり」
これは連合艦隊がアメリカ海軍の情勢を分析して打電した文章。
結論として「敵が来そうなのか、来そうもないのか」・・・
わかりもしない余計な心理描写のおかげで肝心な部分がまったく分析されていない。
アメリカ式がベスト・・・とは言わないけれど
良くない伝統は・・・直さないと・・・ねぇ。