http://www.digitake.com/   

 

Episode No.739(20010108):或る知人の死

その知り合いは以前の同僚。
私より年上で、50代前半だったと思う。

ここ数年は年賀状のやりとりくらいしかしてなかった。
今年も年賀状を書いたけど・・・珍しく返事がない。

つい数日前に人づてに聞いた話によると・・・亡くなったという。
しかも、亡くなったのは去年の夏だったらしい。

その人は独身だったので・・・
同じように年賀状の返事からないコトを気にかけた人が
その人の親類に連絡をとって事実を知った。

死因は、わからない。
親類の人も何故か、そのへんをぼかしていたらしい。
今さら死因を知ったところで・・・もう、どうにもならないけれど。

体が小さくて、おとなしい人だった。
お世辞にも器用だとは言えなかったが・・・
若い人たちと酒を呑むのが好きで、英語は得意だった。

私は、その人とかつて一週間ほど香港へ出張に行ったコトがある。
その人は、前の仕事の関係で香港に住んでいたコトがあって・・・
語学が苦手な私は、ずいぶん頼りにさせてもらった。

香港の屋台では毎晩のように呑んだ。
見たこともないような、ツマミを次々と頼んでくれた。
その時、よく笑っていたのを思い出す。

IT革命だ何だと言ったところで・・・
その先に「誰か」人がいなければ、何の役にも立たない。

携帯電話やメールをみんなが当たり前のように使いはじめたおかげで・・・
その気になれば」すぐにでも誰にでも連絡がとれる時代になった。

自分を「気にかけてくれる誰か」がいるおかげで・・・何とか頑張ろうという気になれる。
もし自分しかいなかったら・・・道具どころか、世の中なんて必要ない。

時々「自己満足で充分」なんて人もいるみたいだけど・・・
本当にそうだとしたら、決して人前にその成果を出そうとはしないだろう。

他人がいるから生きていかれる。
それをシッカリ認めた方が、新しい世界が見えてくるんじゃないのかな?

生きていれば、知人の死を知るのもいたしかたのないことだけど・・・残念だ。
何より残念なのは・・・
その人と最期に交わした言葉を覚えていないこと。

Kさん、安らかに・・・!


参考資料: