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Episode No.681(20001101):贅沢の方法

もう、11月だね。
さすがに最近、ちょっと寒い日には・・・
蕎麦も"ざる"じゃなくて、あったかいのを食べるコトもある。

さて・・・
メリケン粉と水に、塩とラードをまぜて直火で焼く。
この甘くも何ともなさそうな食べ物は・・・西部開拓時代のビスケットだ。

食事づくりに、あまり時間をかけられなかった西部開拓時代。
この塩味の一口即製パンという感じのビスケットは一般家庭の主食的立場にあった。

そこで当時の働き者の男たちは、女房をもらう条件として・・
性格や見た目の好みのほかに、このビスケットを早く、おいしく作れる女性であるコトにウエイトを置いた。

現代なら、多少、料理の腕前はよくなくても・・・金さえ出せば美味いモノは食える。
しかも、料理は女房が作るモノ・・・と決まったいるワケでもない。

だが、肉体労働が中心の西武開拓時代において、男と女の役割はハッキリとしていた。

料理だって何だって、そうだと思うけど・・・モノづくりは工夫する訓練になる。
そういう工夫に長けている女房がほしかったんだろうね、西部開拓時代の男たちも。
じゃなきゃ、安心して家庭をまかせられない。

そこで、ビスケット作りの腕だけはいいが、ほかはちょっと問題・・・
という女房をもらった男は「ビスケット・イーター」などと"あだ名"された。

この時代の男たちの好物には、パイもあったが・・・
仕込みから焼き上がるまで、手間と時間がかかるパイは、裕福な家庭の象徴とされていたようだ。

今は贅沢=外食みたいになっているけれど・・・
本当は、誰かが誰かのために作った「手作り」のモノが一番贅沢なはず。

贅沢=金、じゃないんだよね。
誰でも金さえ払えば手に入るモノなんて・・・その程度のモノ、既製品に"お宝"はない。

そう考えると・・・
きっと、今の自分の身のまわりにも・・・
「輝いて見えてくるモノ」が発見できるんじゃないかな?!


参考資料:「歴史雑学事典 世界編」毎日新聞社=編刊