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Episode No.556(20000608):その意味は・・・自然だけが知る

「自然は無駄なものや余計なものを作らない」

哲学者アリストテレスの言葉だ。

アリストテレスの人生については明らかになっていない部分も多いが・・・。
父親がマケドニア王の侍医であったことから、マケドニアの首都で生まれたと言われている。

両親が幼少の頃に亡くなったため、親類の元で養育され・・・。
17、8歳の頃、時の大哲学者プラトンの門を叩き弟子入りした。

その後、プラトンが亡くなるまでの約20年間をそこで過ごし・・・。
プラトンの死後は、エーゲ海を渡って対岸の小アジアへ移り住むが、新しいマケドニア王に呼ばれて、当時13歳だった皇太子の家庭教師となった。
その時の皇太子が、後のアレクサンドロス大王である。

その後は学校の設立や研究活動に没頭していたが・・・。
栄華を誇ったアレクサンドロス大王の急逝により居場所がなくなり、反対勢力の的とされたために亡命暮らしを余儀なくされ・・・最後は亡命予定の旅先で病死した。

昨日の豪商の話と同じく・・・。
時の勢力と密接な関係を持った
学者芸術家は多い。
むしろ豪商のように自分だけでは食べていけない学者や芸術家にとってスポンサーは必要不可欠だった。

しかし、いかに優秀なインテリも世の中の変わり目の中では、ひとたまりもなく飲み込まれてしまった。

それでも今日、私たちがアリストテレスの言葉を読めるのは・・・。
やっぱり、この言葉の意味が決して無駄なものや余計なものではないからだろう。

人ひとりの人生は、はかないものかも知れないけれど・・・。
生まれてきたからには、必ずどこかに意味があるはずだ。

『謝肉祭組曲』などで知られるドイツの音楽家と言えば・・・シューマン。
作曲家シューマンと、その妻でピアニストの
クララの恋物語は有名だ。

シューマンは妻によってその作品を知られるようになったが、同じく妻によって得た資格がある。
それは弁護士の資格。

「娘さんをください」と迫る青年シューマンにクララの父は言った。
「そんな貧乏音楽家になんぞ、大切な娘をやれるか! 娘がほしけりゃ弁護士にでもなってみろ!!」
そこでシューマンは猛勉強をして弁護士の資格をとり、晴れてクララと結婚したというワケ。

天才音楽家にとって弁護士になる勉強は・・・確かに大きな意味があった。

ちなみに今から、ちょうど190年前の今日・・・。
1810年6月8日はシューマンが本屋の息子として世を受けた日だ。


参考資料:「医の名言」荒井保男=著 中央公論社=刊
     「今日は何の日」PHP研究所=刊

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