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Episode No.550(20000601):非職のよろめき

「"効率"という言葉はよくない。
 "創造性"という言葉を使うべきだ」

1981年にゼネラル・エレクトリック社の会長兼CEOになったジャック・ウェルチの言葉だ。

創業100年以上・・・かの
エジソンが自分の発明品を売り出すために創業に関わった同社は、かつての名称をエジソン・ゼネラル・エレクトリック社といった。

そのトップに立つウェルチは、さぞかし威厳のある男かと思ったら・・・。
ジャックは愛称で、本名はジョン。
会長兼CEOになってからも自分を愛称で呼ばせる親しみにあふれた経営者だ。

大学を卒業後、同社に入社したウェルチは長い間、社内で"変わり者"扱いされていた。
たとえ上司であろうと、自分の主張はキッチリ通す。
一見、当たり前のコトのようではあるか・・・長老がゴマンといる老舗で、これを通すのは"変わり者"でなければできない。

ある日、上司から「もっと効率を上げろ」と不満をぶつけられた彼は、すぐさま冒頭の言葉を言い返した。
効率を上げる=無駄を省いて言われたコトをやる・・・。
そんなコトを社員全員がしていたら会社はダメになるというのがウェルチの主張だ。

さらにウェルチは言った。
「ここにいるあなたの部下一人ひとりは全員同じ人間だ。
 全員が生み出すアイデアは無尽蔵だから、あなたはそれを好きなだけ持っていけるじゃないか」

社員の士気を高めるために「効率」という言葉を使う人は多いが・・・。
かえってそれが社員一人ひとりの未知なる「発想」にフタをしてしまうコトにもなりかねない。

ウェルチの言葉を聞いて納得させられた上司は、同じコトをそらに上の上司に伝え・・・。
ウェルチの言葉は、あっという間に社内に全部に広がった。

ここでスゴイと思うのは、納得した上司が彼の言葉を社内に広めたという点だ。
今日、この話を読んだら何かの折りにウェルチと同じようにコトは誰にでも言える。
しかし、問題はそれを受け入れてくれる組織があるかどうかというコト・・・。

たいていの上司は部下にやり込められたコト自体に感情的になってしまう。
言葉の中味を真剣に考えて取り合ってくれれば、まだ
組織自体の可能性もあると思うが・・・。

言っても無駄かどうかは、まず言ってみてから決めればいい。
考えてるより、ずっと確実な答えが返ってくるはず。
でも本当に無駄だったら・・・。
そんな組織に寄りかかっている自分を考え直す時かも、ね。


参考資料:「20世紀名言集 大経営者編」A級大企業研究所=編 情報センター出版局=刊

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