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Episode No.527(20000505):ドーンと越えてみよう!

幼い兄弟が、こんな話をしていた。

兄「富山の薬売りがね。山を越えて町に薬を売りに行くとするだろ?」

弟「うん」

兄「冬が来ると山には雪が積もる。そこで薬売りは考えるわけだ」

弟「どんなこと?」

兄「ああ、この雪が降らなかったら楽に早く山を越して、うんと薬が売れるのに・・・」

弟「それは、そうだよね」

兄「でも、こう考える薬売りもいる」

弟「?」

兄「もっと雪が降らないかなぁ、もっともっと積もれば、山を越えて町まで行く薬売りがいなくなるから、自分の薬は絶対に売れるのに・・・。さぁ、お前ならどう思う?」

弟「やっぱり雪がない方がいいに決まってる」

兄「そうかなぁ・・・俺は雪があった方がいいような気がするけどなぁ」

弟は、その後・・・。
大人になり、仕事をするようになると「やっぱり兄貴の方が正しかった」と思うようになったという。

弟の名を
萩本欽一という。

今でこそゴールデンタイムは後輩たちに道をゆずった感じもあるが・・・。
コント55号の"欽ちゃん"といえば、テレビの一時代を作った人。
今なお人気司会者や演出家としても活躍し、人気番組の放送作家の中には、欽ちゃんの弟子も多い。

「薬売りの話はね、決して意地悪ってことじゃないの。
 
成功するにははないということです。
 簡単にスルスルいけるものに成功はない」

『欽ドン』をはじめ、あれだけの"怪物番組"を手がけてきた欽ちゃんでさえ・・・。
やはり視聴者やスポンサーは重要な存在。

だから、半年がかりで仕込んできた番組も第1回を放映した時点で視聴者やスポンサーの反応をみて、2回目からガラッと中味を変えてしまったコトもあるという。

「1回目だけで内容を変えるくらいなら、何も半年かけて稽古なんかする必要はないよね。
 最初の1回分だけ稽古しておいた方が無駄はなくていいかも知れない。
 でも、半年間稽古してきたっていう自信があるから思い切って変えることができるのね。
 失敗だと気づいた時に、いち早く直せるのは、その前に無駄と思える積み重ねがあるからですよ」

小学校の6年間、級長をしていた欽ちゃんは、ものすごいテレ屋で・・・。
毎日「起立、礼」を言わなきゃならないのが、すごく恥ずかしかったらしい。

私もかつては熱心に『欽ドン』のハガキを書いていた口だけど・・・。
欽ちゃんに名前を読まれた時は、嬉しさよりも恥ずかしさが先に立ったのを覚えている。
『欽ドン』・・・とは言っても、ラジオの時代の話だけど、ね。


参考資料:「まだ運はあるか」萩本欽一 斎藤明美=取材・構成 大和書房=刊

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