Episode No.432(000114):ごちゃまぜの魅力
1952年生まれと言うと今年で48歳になるハズだが、彼女の写真を見る限りとてもそうは思えない。
少なくとも10歳以上は下・・・とにかく若々しくハツラツとした"若者"・・・という印象だ。
彼女の名前は、ジュリー・テイモア。
そう聞いても、よほどのマニアでもない限り聞き覚えはない名前だろう。
職業は・・・舞台演出家。
1998年、彼女は女性として初めてトニー賞、ミュージカル演出賞を受賞した。
受賞作品はブロードウェイで好評を博した『ライオンキング』だ。
日本でも現在、劇団四季が東京・浜松町に構えた劇場でロングラン公演中。
実は先日、その舞台を観てきた。
チケットを取ったのは去年の9月・・・だけどね。
子供たちに付き合って、ディズニーホームビデオの『ライオンキング』は何度か観ていたが、舞台はまさしく映画の内容を生身の人間が演ずる舞台に忠実に再現していた。
最も「人間役」はひとりも出てこないけれど・・・。
仮面とパペット人形を組み合わせた様式的演技は、アニメの世界を超えてアートの世界を形づくる。
ミュージカルには詳しくないが、これはプロードウェイでも新しい試みだったようだ。
ボストン郊外の婦人科医の父と民主党運動員の母との間に産まれたジュリー・テイモアは、兄弟たちとは歳の離れた末っ子。
両親の目が届かないのをいいコトに幼い頃から自由奔放に育てられたという。
そういえばオリッピックの金メダリストたちの多くも第一子ではない場合が統計的に多いとか。
やっぱり、親があんまり干渉すると才能って伸びないようだ・・・どうしても型にハメちゃうからね。
幼い頃から演劇に興味を持ち、大学卒業後は奨学金を受けて海外留学。
日本で文楽を勉強するつもりが、途中のインドネシアに魅せられて多国籍劇団員として活動。
その後、短期ではあるが日本で文楽を中心とする勉強もしたらしい。
『ライオンキング』独特の演出は、まさに人形浄瑠璃のようにも見える。
新しいモノには、ごちゃ混ぜの魅力がある。
一見、ごちゃ混ぜの中に一本スジが通っている・・・そこが作り手の腕の見せどころ。
そこには作り手の人生観とか生き方が反映され、まったく新しい世界が構築される。
最近、遺伝子関係のニュースをよく目にするけれど、絶滅してしまう動物の遺伝子の配列は、どうやら均一化しているのが特徴らしい・・・一方、増える動物の遺伝子は逆に多様化してる。
だから数が減ったからと言って、いくら他から連れてきても、同じような遺伝子的特徴を持っているモノだと頭数を増やしたところで、まったく意味がない・・・すぐに元のもくあみ。
一見違う性格もモノ同士を組み合わせて、それをまとめ上げるだけのパワーがないと・・・発展はないってコトだね。
日本人には得意そうな感じもするけど・・・スジを通すのがねぇ。