Episode No.024
フランスの彫刻家、フレデリック・オーガスト・バルトルディは、間違いなく自分の代表作となるであろう作品を前に静かな時を過ごしていた。
明日になれば、全長46メートルもある彼の作品は、一度解体され、海を渡ることになる。
完成した作品を見つめるフレデリックの表情は満足感に満ちていた。
彫刻と呼ぶには巨大な作品ではあったが、彼はその作品の向こうにもっと大きな愛を感じずにはいられなかった。
作品のモデルは彼の母。
この大事業を成し遂げた息子を、彫刻となった母は優しく見下ろしていた。
アメリカ独立100周年を記念してフランスから贈られたフレデリックの母の像は「自由の女神」と呼ばれた。 |