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Episode No.276(990715):大人は子供の延長線上にある

この季節になって、ウチの台所にも必要不可欠になってきたモノと言えば・・・「ごきぶりホイホイ」。
出るんですよ、困ったコトに・・・。

夜、台所に行って、パチッと電気をつけると小さな影がササッと動く。
イヤなモンだ。
基本的には油虫と変わりはしないんだろうけど、こいつばかりは「好き」という人を見たことがない。

バルサン焚いてイッキにカタをつければ効果はてきめんなんだろうけれど、どうも抵抗があるんだよなぁ、バルサンって。
飲食店でも大丈夫・・・っていうCFも見た記憶はあるけれど、やっぱり煙にまかれた食器は大丈夫か?と思うし、まして小さな子供がいるとね。
それに、パソコンなんかの精密機器にもよくないような感じだし・・・で、とりあえず「ごきぶりホイホイ」となる。

「ごきぶりホイホイ」がアース製薬から発売されたのは、1973年のことだというから、もう25年以上も経っている。

当初、商品名はフマキラーと同じ発想で、ごきぶり+キラーの「ゴキブラー」としようとしたらしいが、すでに他社に商標を押さえられていたため、会長の発案により「ごきぶりがホイホイ捕れて、商品がホイホイ売れるように」という意味合いを込めて「ごきぶりホイホイ」となった。

「ごきぶりホイホイ」は、発売3ヶ月で20億円以上売り上げたという大ヒット商品。
会長の思いは、みごとに通じたというワケ。

開発段階で最も苦労したのは、いかにしてこの罠にごきぶりを呼び寄せるかという点だったらしい。
そのため研究チームでは、ごきぶりの生態を徹底的に調べ上げるため、ごきぶりを飼育。
その数、なんと30万匹というから、やっぱり金儲けは楽じゃない。

「ごきぶりホイホイ」の最大の特徴である粘着シートを使うという発想は、社員たちが子供時代にセミやトンボを捕まえるために使ったトリモチがルーツとなっているらしい。

笛吹きヤカンのジョセフも発想は子供の頃の記憶にあった。
大ヒットメーカーである
ルーカススピルバーグも同じ。

子供をやめて大人になったつもりでいる人には決して新しいモノは生み出せない。
悩むことがあったら、一度自分の子供時代にまでさかのぼって考え直してみることも必要かもしれない。


参考資料:「20世紀の発明・発見博物館」グループ・サイエンス21=編著 ワニ文庫=刊

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