子供たちに言わせると、お父さんの部屋はパソコンのある部屋。
そしてお母さんの部屋は?・・・と聞くと、台所を指さす。
私が台所に立つのは、冷蔵庫に飲み物を取りに行く時か、腹が減ったのに誰もいない時・・・くらい。
それも目標のモノだけ手にすれば、さっさと出てきてしまう。
そんな私があらためて台所を見渡してみると、いろいろなことに気づく。
そこで、なんとなく今週は「台所シリーズ」みたいになっちゃっているけど、今日もそんなハナシ。
最近、案外活躍しているところを見ない台所用品のひとつにヤカンがある。
独身の頃は、これまたたいして使いもしないのに、カタチが気に入って買ったヤカンがいくつかあるはずだ。
しかし、それらが使われている形跡はない。
台所から「ピュ〜」という笛の音を久しく聞いていない。
湯沸かし機能付きの電気ポットは、いつもお湯を湛えているし、コーヒーはコーヒーメーカーを使って入れるから、考えてみればヤカンを使う必要は、非常に低くなっている。
ものの本によると、このヤカンという道具は、なんと原始時代から使われていたという。
しかも、マヤの遺跡から発見されたヤカンらしき土瓶には、すでに笛穴とおぼしきものがついていたそうだ。
近代的な笛吹きヤカンと呼ばれるものが登場したのは、1921年のこと。
ニューヨークにあった台所用品メーカーの重役を引退したばかりのジョセフ・ブロックという男の発案によるものだ。
これから悠々自適の生活に入ろうとしたジョセフは、たまたまドイツのヤカン工場を見学することになった。
その時、幼い頃、父親が圧力鍋でじゃがいもをふかしてくれたことをふと思い出した。
圧力鍋は調理が終わると笛が鳴る仕組みになっている。
それならヤカンにも笛をつけてみてはどうか・・・。
引退直後のこの思いつきがジョセフを再び仕事に戻すことになった・・・というワケ。
仕事に追われているうちは、本当にいいアイデアというものは、なかなか出てこない。
かと言って引退後の奇跡を信じて生きられるほど年をとっていなければ・・・やはり、仕事を追う側にまわる必要がありそうだ。
しかし、便利なモノより、楽しそうなモノの方が売れるもんなんだなぁ・・・。