彼女を初めて見たのは、昨年の今時分、
2011年12月10日のこと。皆既月食のあった日だ。

ふと見下ろした池。
最初は水の中に、何かビニールのような
光るものが沈んでいるのかと思った。

それが自ら泳いでいることを知った時、
まるでネッシーにでも遭遇したように緊張し、
最初に撮った写真はピンぼけばかり。

最初の遭遇の後、この場所に行ったのは、
最初に見たすぐ後だと勘違いしていたけれど…、
実際には今年３月のことだった。

あいにくの雨だったが、彼女はいた。
望遠レンズで捕らえた彼女の瞳は、
とても魚だとは思えなかった。

その後も、ひと月からふた月に一度の割合で、
この場所に足を運んだが、
女王どころか、小魚一匹見あたらなかった。

いるのは水すましだけ…。

葦で覆われた沼池の奥にあるこの場所は、
湧き水が池に流れ込んでいる。

池との境は沼になっているので、
水面に近づくことは容易ではない。
土手と池との間には、ちょっとした木立があって、
散歩道から見下ろしても、通りすがりでは
水の中まで見ることはできないだろう。

にもかかわらず彼女に気づいたのは、
その輝きが神々しかったからにほかならない。

…つづく。

4477 伊豆の神様〜女王との再会