Episode No.4075(20110914)[生活]Life

証し〈下〉
Evidence of the life.

今日も昨日に引き続き
炭坑記録画家、山本作兵衞さんの話。

テレビ番組(日曜美術館)で、たまたま知った画家とその作品。
必然より偶然の方が、はるかにインパクトを感じる。
故に偶然こそ必然と言われるのだろうけれど
…やっぱり偶然は偶然。

そんな偶然に出逢うためにも、
面倒がらずに自ら何か行動を起こさねばならないな。

さて…
山本作兵衞さんの作品は
画用紙に水彩で描かれているらしい。
実に素朴なタッチで、漫画「ナニワ金融道」を思い出させる。

兄弟をおぶって親の手伝いをする子供。
父ちゃんも母ちゃんも裸同然で土にまみれた肉体労働。
大浴場は男湯女湯なんて贅沢なものはないから、
男も女も一緒になって湯を浴びる。

それはそれは貧しく、しかも毎日が命がけの生活。
まるで未開の地に住む原住民のような暮らしぶりだけれど…
年齢も性別の隔たりもなく、
みんなが一体になって暮らしている様は、
何かユートピアを見ているような気分になるから不思議だ。

昔、庶民は長屋に住んで…
家に鍵をかける者などいなくて、
醤油がなければ隣の家に借りに行き、
たとえ留守でも棚から勝手に醤油を持ってくるのが当たり前。

そうだ、寅さんの柴又の実家にも、
よく裏口からタコ社長が家族の一員のように顔を出してたな。

なまじ守るべき財産が、できてしまったが故に…
他人との間に壁を作らざるを得なくなってしまった。

経済的な豊かさと反比例して、
豊かな人付き合いが失われていくのだとしたら…
いったい何のために豊かさをめざしたのか
…わからなくなってしまうよな。

とはいえ…それを貧しさの言い訳にはしたくないのだが。

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