今日も昨日に引き続き、
炭坑記録画家、山本作兵衞さんの話。
テレビ番組(日曜美術館)で、たまたま知った画家とその作品。
必然より偶然の方が、はるかにインパクトを感じる。
故に偶然こそ必然と言われるのだろうけれど
…やっぱり偶然は偶然。
そんな偶然に出逢うためにも、
面倒がらずに自ら何か行動を起こさねばならないな。
さて…
山本作兵衞さんの作品は
画用紙に水彩で描かれているらしい。
実に素朴なタッチで、漫画「ナニワ金融道」を思い出させる。
兄弟をおぶって親の手伝いをする子供。
父ちゃんも母ちゃんも裸同然で土にまみれた肉体労働。
大浴場は男湯女湯なんて贅沢なものはないから、
男も女も一緒になって湯を浴びる。
それはそれは貧しく、しかも毎日が命がけの生活。
まるで未開の地に住む原住民のような暮らしぶりだけれど…
年齢も性別の隔たりもなく、
みんなが一体になって暮らしている様は、
何かユートピアを見ているような気分になるから不思議だ。
昔、庶民は長屋に住んで…
家に鍵をかける者などいなくて、
醤油がなければ隣の家に借りに行き、
たとえ留守でも棚から勝手に醤油を持ってくるのが当たり前。
そうだ、寅さんの柴又の実家にも、
よく裏口からタコ社長が家族の一員のように顔を出してたな。
なまじ守るべき財産が、できてしまったが故に…
他人との間に壁を作らざるを得なくなってしまった。
経済的な豊かさと反比例して、
豊かな人付き合いが失われていくのだとしたら…
いったい何のために豊かさをめざしたのか
…わからなくなってしまうよな。
とはいえ…それを貧しさの言い訳にはしたくないのだが。