「日曜美術館」を観る。
例によって、
たまたまTVをつけたらやっていた番組。
メイキングを見るのが好きだし、
美術館もわりと好き。
自分の知らない画家の話でも、
つい見入ってしまう。
取り上げられていたのはマーク・ロスコ。
ロシア出身のアメリカの画家で
抽象絵画で知られているらしい。
紹介されていた代表作の数々は、
正直…とても絵画とは思えない。
キャンバス一面に色が塗られていて、
そこに窓のような四角い別の色が、
ただぼんやりと描かれている
…というより塗られている。
岡本太郎は…
「何だこれは!」と思うものが芸術だ
…と言ったが、まさにそんな感じ。
それが何に見えるかは
…おそらく人によって違う。
どこかで見たような気もするし、
夢に出てきた何かのように思えなくもない。
つまり…
ロスコの絵を目の前にしながら、
別の何かを思い出して見ている。
絵に触発されて浮き上がってきた
忘れかけていた遠い記憶。
…しかも説明のできないもの。
伝えたいことやテーマを
明確に文字に表すことができるのなら
…それは文字で書けばいいこと。
そうではない何かを感じてほしいから
黒澤明監督は映画を作りたいのだと言った。
写実的に伝えたいのなら
写真を撮ればいい…とロスコは言うかも知れない。
ひとつではない
自分だけの答えを導きだそうとする力を
後押しする…それが芸術のすばらしさ、か。