Episode No.4074(20110913)[偉人]Great man

証し〈上〉
Evidence of the life.

母親の後を7つか8つくらいの子供が、
親の仕事を手伝うために付いて歩いている。
その子の背中には赤ん坊がくくりつけられている。

フンドシ一丁のダンナと腰巻き一枚の女房。
腰をかがめて力一杯にツルハシをふるう2人。

…いずれも狭くて暗い穴の中。
炭坑の様子を説明した絵である。

先週の「日曜美術館」で紹介されていた炭坑(ヤマ)の画家、
山本作兵衞さんは、第二次伊藤博文内閣が成立した年…
明治25(1892)年福岡に生まれた。

日本はまさに近代化への道をまっしぐら。
文字通りそのエネルギー源となったのが石炭だった。

尋常小学校を卒業後、炭坑労働者となった山本さんは
以来60年間を炭坑(ヤマ)で過ごした。

定年後、60年間の記憶をたどって描いた
2,000枚にものぼる絵画には、
冒頭で紹介したような炭坑労働者の日常生活が
説明書きと共に実に克明に記録されている。

山本さんは昭和59(1984)年に
92歳で大往生を遂げているが…
山本さんの描いた作品は今まさに世界に向けて産声を上げた。

今年…2011年5月25日、この作品群は
国内初のユネスコ世界記憶遺産に登録されたのだ。

そして「日曜美術館」への登場と、あいなったわけである。

田舎の炭坑で、地味に60年間仕事をしてきた男が、
画家として世界に知られるようになるとは
…誰も思ってなかっただろう、ね。

まったく…人間は死ぬまで、
いや、死んでもどうなるかわからんな。

そう考えたら…今わからないのは当たり前。
ただ、目の前にある仕事をたんたんとやるだけ…!

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