Episode No.3942(20110412)
息吹
Art museum.
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美術館が好きだ。
それも地方の美術館がいい。

もちろん都会の美術館の方が
作品や設備は充実しているけれど、
入館料は高いし、人が多すぎる。

地方の美術館もだって
入館料は決して安くはないけれど、
何せ人がいないから、
気兼ねなく
作品の前にずっと立っていられる。

もう手に触れそうな位置で、
あの巨匠の筆遣いを
目を凝らして見ることができる。
指紋まで見えてきそうだよ。

それくらい作品を独占できるという点において、
はるかに贅沢な気分が味わえるんだ。

静まりかえった美術館で、
たった独りで多くの作品に囲まれていると、
不思議な圧迫感を覚える。

作品を見ているのではなく、
作品に見られているような感じだ。

決して嫌な感覚ではないけれど…
まるで大自然の中に
独りでポツンと立っているような
、ね。

熱のこもった作品というのは、
確かに生きているんだと思う。

植物にも似た、
そういう息吹を感じるんだよ。

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