井の中の蛙どころか、
ほとんどの魚たちは、
自分が水の中に住んでいて、
水の外という世界があるのを
知らないだろうな。
釣り糸や網にかかって、
死の直前の断末魔の中で、
それを知ることになる。
人間も同じだな。
大きなトラブルや失敗をしないと、
なかなか自分の
客観的な現実を見ることができないし、
見ようともしない。
しかし、
大きなトラブルや失敗をしてから知っても
あとの祭り…なので、せめて歴史を勉強する。
日本史や世界史に限らず、
伝記はもとより、
化学はこれまで発見されたことの歴史だし、
語学はこれまで話されてきた言葉の歴史だ。
そうした歴史本来の学習の目的は、
過去を暗記することではなく、
未来を予測するためにあるのだと思う。
未来の予測の仕方は極めてシンプルで、
今抱えている問題と
同じような問題を抱えていた時代や人を抽出し、
いったいどんな結末を迎えたかを知る。
歴史は繰り返されると言うが
規模や物事が進むスピードこそ異なっても
パターンはそう大きくは変わらない。
そして最も難しいのは…
パターンを導き出した後、
そのパターンに陥らないために、
未来の道をどう判断できるか、ということ。
より多くのパターンを知っているだけなら、
学者や評論家で充分だが…
単なる学者や評論家的な見識では
元首や社長、課長ですら務まらない。
最終的に判断を下すのは
知識や統計ではなく、勇気と覚悟だから、ね。
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