Episode No.3732(20100811):
03 生徒会 映画「白い蹉跌」は県立舞岡高校・映画研究部製作である。 当時は私は生徒会長もしていたので、部費というものがバカにならないことは知っていた。 生徒会室に集まる仲間の中には当然Eもいた。 文化祭と体育祭を同時開催して一週間まるまるお祭り騒ぎをしてみたり、後夜祭は体育館でコンサートと大ディスコ大会。実におおらかな時代だったと思う。 後夜祭では勢いに乗ったEが大演説をして“青春”を盛り上げた。 今だから告白するけれど…文化祭というのは意外に儲かるものだった。 安易な参加方法として喫茶店をやるクラスが多くて、当時、1本50円くらいのコーラを氷を入れて3杯くらいに分け、1杯100円で売っていたのだから儲かるはずだ。まして冷房もない校舎だから売れる、売れる。 収益金は生徒会が集めて再分配する。 最も赤字を出していたのは映画を作ったグループだった。 そこで、映画を作ったグルーブに対し一律費用の90%程度を補填することにした。 普通クラス単位で作った8ミリ映画は、せいぜい10分程度のもので、費用の2〜3万だったが、一流監督を真似て、湯水のごとくフィルムを使い、メイキングまで撮っていた「白い蹉跌」は本編だけでも42、3分はあり、30万くらいかかっていたからね。 だけど補填は“公平を期して”一律製作費の90%…。パーセンテージにしたところがミソだったな。 最もそれは最終的に、それも奇跡的に帳尻があっただけの話で、製作中は映研の部費だけでは当然足りず、生徒会費を流用してまかなっていた。もし儲かっていなかったら、どうなっていたことか…考えるだに恐ろしい。 しかし、何かができあがっていく時というものは偶然という必然が重なっていくもの。 私の単なる思いつきと個人の思い入れで始まった「白い蹉跌」をめぐるプロジェクトは、いくつもの偶然と運命によって完成に近づいていった。 【この項目のバックナンバー】 Copyright 1998-2010 digitake.com. All Rights Reserved. |