Episode No.3731(20100810):
02 Eとの出逢い 自主製作映画といえばたいそうなものだが、しょせんは素人高校生の集まり。 映画に興味があった私が、少しばかりシナリオ形式を知っていただけの話で構成も撮り方も、すべては単なる思いつきだった。 一応、映画研究部部員だったのでスタッフは容易に集めることができたた。このことについては明日詳しく話そうと思う。 問題はキャスト。誰に頼んでも、たいていみんな恥ずかしがって出てくれない。 主人公は決め打ちしてあった帰宅部のKを口説いた。 最終的にヒロインを演じてくれたのは、結果的には当時校内で最も可愛いと言われていた卓球部のS。その後、私もそれとなくアタックして…撃沈したけど。 さて、本編のもう一人の主人公は、劇中で死ぬ主人公の親友役。 実はこの役を誰にやってもらうかが最も二転三転した。 最終的に決まったのは、Eだった。 舞岡高校には公立には珍しくアメリカンフットボール部がある。 そのEと私は1年の時に同じクラスで出逢った。 スポーツマンのEと私とでは見た目はまったく違うが、活発という点においては似た者同士だったかもしれない。 出逢った頃はお互い目立っていたために、よく牽制し合っていた気がする。 1年の頃、私は得意な似顔絵で先生たちのイラストを描き、それでクラスの時間割表を作っては1枚10円でコピーしてはクラスメイトに売って小遣い稼ぎをしていた。 それを知ったEが私のところへやってきた。 以来、Eと私は急激に仲良くなっていった。 「白い蹉跌」を製作することになって、問題の役をEに頼むことは実を言うと念頭になかったわけではない。 そこで苦肉の策として、死んだ友人役のEには、普段通りにフットボール部で活動をしてもらって、それを撮影して回想シーンとして使うことにした。 映画のために部活以外でEを撮ったのは、私のうちに来てギターを弾いているところとバイクで走るところくらい。 それが本当の回想シーンになってしまったのだから、自分がやっていたこと自体が「白い蹉跌」にも思えたものだ。 【昨日のページ】01 友人の死 Copyright 1998-2010 digitake.com. All Rights Reserved. |