Episode No.3636(20100421)
憧れの道具たち〜その歴史を探る(3)

そもそも万年筆とは何か?

その昔…
「羽根ペン」にルーツを持つ「つけペン」の時代には、
ペンだけで文字を書くことはできなかったし、
書いている途中でも、
いちいちインクをつけなければならなかった。

1809年、
ペン軸にインクを貯蔵するものがイギリスで開発されたが、
決して実用的なものではなかったようだ。

そして運命の1883年…。
ニューヨークで保険外交員をしたいた男が、
重要な契約書類に顧客のサインをもらおうとしたところ、
インクがボタっと書類に落ちてしまい、
新しい書類を取りに戻っているうちに、
別な保険会社に契約を横取りされるという事件が起きた。

悔しい思いをした男は怒りをペンにぶつけ
…ボタ漏れしないペンの開発に着手する。
完成したのは毛細管現象を利用したペン芯
…万年筆の誕生である。

男の名は、ルイス・エドソン・ウォーターマン。

もともとビジネスマンである彼は、
万年筆のキャップに
クリップを付けたことでも知られている。

万年筆を発明したことで彼の運命は一遍。
世界初の万年筆メーカー、
ウォーターマン社を立ち上げることになる。

私が先日買った万年筆が、このウォーターマン社製。
万年筆の誕生秘話を知り
…ついつい欲しくなってしまったというわけ。

ウンチクもさることながら、名前もいいよね。

万年筆の英文名はfountain pen。
fountainは泉とか噴水の意味だから、
泉のようにインクが沸き上がるペンという意味だ。

話は変わるが、
世界一の滝、エンジェルフォール
最初は伝説の滝だから、そんな名がついたのか
…と思っていたけど、発見者の名前なんだって、ね。

名前っていうのは…結構、必然だったりするから不思議。

さて、万年筆が日本に入ってきたのは、
ウォーターマンが万年筆を発明した翌年の1884年。

入ってきた当初はfountain penをほぼ直訳し、
「針先泉筆」などと呼ばれていたらしい。

それより遙か昔、江戸時代以前にも
万年筆の前身らしきものはあったらしいが…
日本人が作ったんだったらペンじゃあなかったろうね
…ひょっとしら筆ペン?

「針先泉筆」が丸善で発売された同じ年には、
国産初の万年筆が「萬年筆」という名称で発売されている。

ところで、私が買ったウォーターマンはフランス製だ。

ウォーターマンはアメリカ人なのに、
何故フランス製なのかといえば…
アメリカにあったウォーターマン社は後に倒産し、
フランスだけが生き残っている、ということらしい。

ライバル会社であるパーカーも
創業はアメリカだったが、
現在はイギリスに本社が置かれている。

ここまで調べてみると、
何故アメリカの万年筆会社が
撤退を余儀なくされてしまったのかが非常に気になる。

しかし、ネットを叩いても
今のところ、その答えは見つかっていない。

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