Episode No.3444(20090909)
賢さの値
三島由紀夫・著「レター教室」より

今日も引き続き三島由紀夫・著『レター教室』から。

「大体、頭のいい友だちを求める人たちは、
 よほど頭の悪い連中なんだわ。
 心を打ち明け合って安心なのは、
 それによって相手が、
 はじめてバランスがとれたと
 感じるような友だちなのだわ」

…『すべてをあきらめた女の手紙』

頭がいい…とは、いったいどういうことだろう?

問題を解決するための術を知っている。
それは知識が抱負だということだ。

しかし、知識より先に必要なのは
問題のポイントを理解することではないのか。

回転が速くて理解力に富んでいる。

理解=解決法が直結している人を
頭がいい人、と呼んでいるように思う。

理解そのものが安心である。

わからないことが、
そもそも不安だから、ね。

安心を求めるが故に
まず理解しようと努める。

場合によっては…
自分が理解できる範囲に、
問題を無理矢理押し込めようとしてしまう。

そして…妖怪が生まれる

妖怪を生み出すことなく、
問題を解決できるのが…真に頭のいい人だろう。

よく「私の知る限り…」という
前置きをして話す人がいる。

たいてい知っている範囲は狭すぎて、
知識をひけらかそうとして
逆に知識のなさを露呈する結果となる。

そんな言葉を使えるのは…
よほどのベテランか学者だけだよ。

頭のいい友だちというものは、
流行の格好のいい服のようなもので…
出逢った瞬間は自分も格好よくなれる気がするが、
実際に袖を通してみると何とも不格好。

そして、また別の服を探すようになる。

いくら探しまわっても…
シェイプアップしていない身体に
似合う服などありはしない。

自分の外に
自分に欠けているものを求めても
…虚しいだけである。


| 人生日々更新 | 最近のBacknumber | 架空対談 | 教育論 |