Episode No.3402(20090722)
思い出の夏

一緒に「日曜美術館」を覗き見していたカミさんが、
やっぱり意味がわからない…と言うので、
意味をわかろうとしても無理だが
考え方はこうだ…と
昨日書いたようなことを話してやった。

そう…意味は人によって違う。
だから意味を理解しようとすることで、
かえって理解不能になってしまうことがある。

例えればそれは、
予想外の小遣いをもらった時のようなもので、
金に困っているときであれば、
これで久しぶりに旨いものが食えると感じるし、
金に困っていなければ、
何かためらっていた贅沢品を買おうかと考える。
目の前に置かれた金は金でしかないのに、
その向こうに見える者は人によって違うのだ。

あいにくカミさんは
抽象絵画を見てもピンと来ないようだが、
音楽を聴くと、その向こうにある遠い記憶や臭いが
蘇ってくるという。

確かに「音」にもそういうところはある、ね。

夏と言えば…セミの声。
セミの声を聴くと、
夏休みという非日常的な
夢をみているような…
映画を観ているような…
いつかの感覚が沸き上がってくる。

そして思い出すのは…あいつのこと
今日であいつと別れてから丸29年が経った。

18歳といえば、
もはや自分の息子の年とほぼ同じ。

にもかかわららず、
もし今目の前に、当時そのままの奴が、
ひょいと現れたとしても、
子供だなんて馬鹿にせず、
対等な男同士として話せそうな気がするのは何故?

子供くらいの年の奴を前にしたら、
たいてい何か教えてやろうという態度に出てしまうのに、
むしろ、こちらが何かを教えてほしいと思うのは何故だ?

そういえば…
「劇画・オバQ」っていう漫画があったな。
原作者の藤子・F・不二夫が自ら描いた…。
大人になった正ちゃんのところへオバQが訪ねてくる話。

全編YouTubeにUPしてる人がいた。
おそらくは無許可で。

…せつない話だけど、ね。

大切なことを忘れずにいるということは
…そうとう力のいることだ。


| 人生日々更新 | 最近のBacknumber | 架空対談 | 教育論 |