Episode No.3351(20090523)
振替乗車、初体験記

久々に仕事で都内に出た帰りのこと。

途中駅で電車が停車したまま、
いつまでたっても発車しない。

iPhoneに入れた
黒澤明監督のドキュメンタリー
見直していたので、
さほど気にもとめていなかったけれど、
車内で何かアナウンスしていたので
イヤホンをはずした。

この先の踏切で人身事故発生。
平行して走る路線だが、
この路線も当分止まったままになるという。

強制的に電車を降ろされる。

すると…
さんざん待たされた挙げ句、
降りろと言われて数人の乗客が激怒

まわってきた駅員をつかまえて
怒鳴り散らすは
座席を蹴っ飛ばすはの大騒ぎを始める。

しばらく野次馬として
事の顛末を見届けようとするも、
いよいよ電車が動かないので、
とりあえず駅から出てみる。

乗り換えのない駅なので、
降りたからと行って、
どうなるものでもないとは思ったが…
考えてみると、
さんざん通過していたけど、
降りたことのない駅だったし。

毎日ギュウギュウ詰めの
満員電車に乗っている人には申し訳ないが、
たまにしか乗らない私にとっては、
ちょっとばかり、
この非日常性を楽しむ余裕もあった。

初めての商店街を
人の流れにそって歩いてみると、
別の駅に到達した。

電車は動いていたようなので入ってみる。

もう、かなり遅い時間になっていたが、
そんなこんなで、
駅の周辺には人が溢れかえっているので、
改札の行き来もフリーになった状態。

そこから別の駅まで行って…
また、そこから
私鉄の振替乗車券というのをもらって
少しずつだが家の方向に近づいてゆく。

そうこうしながら、
普段なら45分から1時間くらいの道のりを
3時間近くかかってようやく帰り着いた。

ようするに動脈硬化というのは、
こういうことなんだな、と思う。

どこかの線が止まってしまうと、
ほかの線まてパニックになる。

都市にとって
交通機関は、まさに血管と同じだ。

ぐったりして帰ってきて、
テレビのニュースを見ていたが…
あれだけの大騒ぎにもかかわらず、
電車が止まったニュースは一切やっていない。

新型インフルエンザの話ばかり。

これだけの人混みに
身を置くことになるとは思っていなかったが、
電車に乗ることにはなっていたので、
マスクはしていった。

…正解だった。今のところは、ね。


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